食洗機の完全ガイド
毎日繰り返される食器洗いは、多くのご家庭にとって大きな負担となる家事の一つです。手荒れや腰痛の原因となるだけでなく、時間的コストも決して無視できません。そんな日々の悩みを解決し、私たちの生活を豊かにしてくれる家電が「食洗機」です。しかし、「本当にきれいになるの?」「設置は難しい?」「電気代は高そう…」といった疑問や不安から、導入をためらっている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、食洗機の基本から種類、正しい使い方、さらには知っておきたい注意点や活用術、そして気になる費用面まで、食洗機に関するあらゆる情報を徹底的に解説します。食洗機を導入することで得られるメリットは計り知れません。時間と心にゆとりが生まれ、ご家族との時間や趣味に費やす時間が増えるでしょう。
食洗機導入を検討中の方も、すでに食洗機をお持ちでさらに使いこなしたい方も、ぜひこの記事を最後までお読みいただき、快適な食洗機ライフを実現するための一助としてください。
1. 食洗機の基本
食洗機とは、食器を自動で洗浄・乾燥してくれる家電製品です。手洗いと比較して、時間と労力を大幅に節約できるだけでなく、高温洗浄による高い除菌効果や節水効果も期待できるため、現代のライフスタイルに欠かせない存在となりつつあります。
食洗機の基本的な仕組みは、以下の通りです。まず、庫内にセットされた食器に、高圧で噴射されるお湯と専用洗剤の混合液を吹き付け、こびりついた汚れを強力な水流で洗い流します。この水流は、庫内のスプレーアームが回転することで、食器の隅々まで行き渡るように設計されています。洗浄には通常、50℃〜80℃といった高温のお湯が使われるため、油汚れを溶かしやすく、手洗いでは難しい高い除菌効果も得られます。洗浄が終わると、すすぎが行われ、最後に乾燥工程に入ります。乾燥方式には、ヒーターで庫内を温めて乾燥させる「ヒーター乾燥」や、送風で水滴を飛ばす「送風乾燥」、洗浄後の余熱を利用する「余熱乾燥」などがあり、機種によって異なります。
食洗機を導入する最大のメリットは、何と言っても「時間の節約」です。食器洗いに費やしていた時間を、家族との団らんや趣味、休息に充てられるようになります。また、手洗いで使うお湯の温度は通常40℃前後ですが、食洗機は高温で洗浄するため、頑固な油汚れもすっきりと落とせ、手荒れの心配もありません。意外に思われるかもしれませんが、手洗いに比べて「節水効果」が高いことも特徴です。食洗機は、少ない水量で効率的に循環させて洗浄するため、特に節水型のモデルでは、手洗いの約1/5〜1/7程度の水量で済むことも珍しくありません。これにより、水道代の節約にも繋がります。高温洗浄による「高い除菌効果」は、衛生面を重視する方にとっても大きな魅力です。
一方でデメリットとしては、「初期費用」がかかること、キッチンスペースに「設置スペース」が必要なこと、そして「洗えない食器」があることなどが挙げられます。耐熱温度の低いプラスチック製品や漆器、アルミ製調理器具、金彩・銀彩の施された食器などは、食洗機での洗浄に適さない場合があります。また、電気代がかかるという側面もありますが、節水効果や時間節約効果を考慮すると、トータルで見たコストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。食洗機は単なる時短家電ではなく、衛生面や節水、そして日々の暮らしの質を高めるための重要な投資なのです。
2. 食洗機の種類
食洗機は、その設置方法や機能によっていくつかの種類に分類され、ご家庭のライフスタイルやキッチンの環境に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。主要な分類方法を見ていきましょう。
最も大きな分類は「設置タイプ」によるものです。
一つ目はビルトイン型です。これは、システムキッチンに組み込まれるタイプの食洗機で、キッチン全体に統一感をもたらし、見た目が非常にすっきりしているのが特徴です。容量が大きいモデルが多く、一度に大量の食器を洗えるため、大家族や来客が多いご家庭に適しています。また、かがむことなく食器を出し入れできる引き出し式が主流で、作業効率も高いです。しかし、導入には専門業者による大がかりな工事が必要となり、本体価格も据え置き型に比べて高価になる傾向があります。賃貸物件では設置が難しい場合も多いため、持ち家でキッチンリフォームを検討している方に特におすすめです。
二つ目は据え置き型(卓上型)です。これは、キッチンカウンターやシンク横に置いて使用するタイプで、工事が比較的小規模で済むか、機種によっては分岐水栓の取り付けのみで設置できるため、賃貸物件にお住まいの方や、手軽に食洗機を導入したい方に人気です。ビルトイン型に比べて容量は小さめですが、コンパクトなモデルも多く、一人暮らしや少人数世帯に適しています。また、本体価格もビルトイン型より手頃な傾向があります。デメリットとしては、設置スペースを確保する必要があり、キッチンが手狭になる可能性があること、そして見た目の統一感が損なわれる場合がある点です。近年では、水栓工事不要でタンクに水を補給して使用する「タンク式」の据え置き型も登場しており、さらに手軽に導入できるようになっています。
次に「ドアの開閉方式」も選ぶ際のポイントです。
ビルトイン型に多いのは、食器を上から出し入れする引き出し式(フロントオープン)です。大容量で、鍋やフライパンなども入れやすいのが特徴です。据え置き型に多いのは、前面が手前に開く前開き式(ドアオープン)で、省スペースで開閉できるメリットがあります。
さらに「乾燥方式」も重要です。
ヒーター乾燥は、ヒーターで庫内を温めて乾燥させるため、食器がカラッと乾きやすいのが特徴ですが、電気代がやや高くなる傾向があります。送風乾燥は、ヒーターを使わず送風で乾燥させるため、省エネですが、乾燥に時間がかかり、水滴が残りやすい場合があります。余熱乾燥は、洗浄後の高温の余熱を利用して乾燥させるため、最も省エネですが、完璧に乾かすには時間がかかるか、自然乾燥を併用する必要があります。近年では、吸湿・排気を利用する「吸湿乾燥」や、ドアを自動で開けて自然乾燥を促す「自動オープン乾燥」など、様々な省エネ乾燥方式も登場しています。
「容量」も家族構成に合わせて選びましょう。一般的に、2〜3人用、4〜5人用、6人以上用といった目安があります。一度に洗う食器の量や、鍋などの調理器具も洗いたいかを考慮して選ぶと良いでしょう。
最後に「機能」です。節水コース、強力洗浄コース、エココース、スピーディコース、除菌コース、予約タイマー、庫内洗浄機能など、様々な便利機能があります。特に重視する機能があれば、それらの有無を確認して選ぶことが重要です。これらの重要ポイントを総合的に考慮し、ご自身のライフスタイルに最適な食洗機を見つけてください。
3. 食洗機の始め方
食洗機を快適に使い始めるためには、購入前の準備から設置、そして初回使用までの手順をしっかり把握しておくことが大切です。ここでは、特に据え置き型食洗機を導入する際の注目点を交えながら、食洗機の始め方を詳しく解説します。
1. 購入前の準備
- 設置場所の確認: まず、食洗機を置くスペースを確保できるか確認します。本体サイズだけでなく、ドアの開閉スペースや、給水・排水ホースの取り回し、電源コンセントの位置も考慮しましょう。シンクの近くであれば、給排水の接続がスムーズです。
- 給排水と電源の確認: 据え置き型の場合、給水は水道の蛇口から分岐させる必要があります。ほとんどの場合、「分岐水栓」という部品の取り付けが必要です。ご自宅の蛇口のタイプ(単水栓、混合水栓など)を確認し、対応する分岐水栓の種類を調べておきましょう。排水はシンクに流すのが一般的です。電源は、専用のコンセントがあるか、または他の家電と共有しても問題ないかを確認します。食洗機は消費電力が大きいため、タコ足配線は避けましょう。
- 予算設定: 本体価格だけでなく、分岐水栓や設置工事費用も考慮して予算を立てます。
2. 機種選び
家族構成やキッチンの広さ、ライフスタイルに合わせて、容量、設置タイプ、乾燥方式、搭載機能などを比較検討し、最適な機種を選びます。特に据え置き型の場合、タンク式であれば水栓工事が不要なため、賃貸物件にお住まいの方や、DIYでの設置に不安がある方には非常に魅力的な選択肢となります。
3. 設置
- ビルトイン型: 専門業者による工事が必須です。購入店やリフォーム業者に依頼し、日程調整を行いましょう。
- 据え置き型:
- 分岐水栓の取り付け: これが据え置き型食洗機導入の最大のポイントです。基本的には専門業者(家電量販店や水道業者)に依頼することをおすすめします。蛇口のタイプに合った分岐水栓を選び、水漏れがないように確実に取り付けてもらうことが重要です。DIYに自信がある方は、取扱説明書やメーカーの動画などを参考に挑戦することも可能ですが、水漏れのリスクがあるため慎重に行いましょう。
- 本体の設置: 分岐水栓が取り付けられたら、食洗機本体を設置場所に置き、給水ホースを分岐水栓に、排水ホースをシンクに接続します。電源コードをコンセントに差し込めば、物理的な設置は完了です。ホースが絡まったり、折れ曲がったりしないように注意してください。
4. 初回使用前の準備
- 取扱説明書の熟読: 安全かつ効果的に使用するために、必ず取扱説明書を読み込みましょう。特に、洗える食器と洗えない食器、洗剤の種類、お手入れ方法についてはしっかり確認してください。
- 庫内の確認と清掃: 輸送中にゴミなどが入っていないか確認し、軽く拭き掃除をします。
- 食洗機専用洗剤の準備: 必ず食洗機専用の洗剤を用意してください。手洗い用洗剤は泡立ちすぎて故障の原因となります。粉末、ジェル、タブレットなど、様々なタイプがありますので、使いやすいものを選びましょう。
5. 実際に使う手順
- 残菜処理: 食器に残った大きな食べかすや骨などは、軽く取り除いてから食洗機に入れます。予洗いは必須ではありませんが、こびりつきがひどい場合は軽く落としておくと洗浄効果が高まります。
- 食器をセット: 水流が当たるように、食器が重ならないように配置します。
- 洗剤投入: 洗剤投入口に食洗機専用洗剤を入れます。洗剤の種類や汚れ具合によって適量を守りましょう。
- コース選択: 汚れ具合や食器の種類に合わせて適切なコースを選びます。
- スタート: 運転を開始します。
- 運転終了後: 食器が冷めてから取り出すと、水滴跡がつきにくく、火傷の心配もありません。
これらの手順を踏むことで、安心して食洗機を使い始めることができます。特に分岐水栓の取り付けは、水回りのトラブルを避けるためにも、専門家への依頼を検討することが賢明です。
4. 食洗機の実践
食洗機を導入したら、その性能を最大限に引き出し、日々の家事をさらに効率化するための実践的な使い方をマスターしましょう。食器の正しい入れ方から洗剤の選び方、コースの活用法、そして日常のお手入れまで、詳しく解説します。
1. 食器の正しい入れ方
食洗機の洗浄効果は、食器の並べ方で大きく変わります。
- 水流の邪魔をしない: 食洗機は下から強力な水流を噴射して洗浄します。食器が重なったり、水流の邪魔になるように置かれたりすると、汚れが落ちにくくなります。
- 下段と上段の使い分け:
- 下段: 主に大皿、深皿、鍋、フライパンなど、大きく頑固な汚れの食器を置きます。水流が最も強く当たるため、油汚れのひどいものに適しています。皿は伏せて、汚れ面が下や水流が当たる方向を向くように置きます。
- 上段: コップ、湯飲み、小鉢、茶碗など、比較的軽い汚れの食器や壊れやすいものを置きます。コップは逆さに伏せて、水が溜まらないようにします。
- カトラリーの配置: フォークやスプーンは、持ち手を下にしてカトラリーケースにバラバラに入れます。ナイフや鋭利なものは、刃先を下にして安全に注意して入れましょう。箸は横向きに置くか、カトラリーケースに縦に入れます。
- 傾斜をつける: お椀や深皿などは、水が溜まらないように少し傾けてセットすると、乾燥効率も上がります。
- 詰め込みすぎない: 一度に洗える量には限りがあります。無理に詰め込みすぎると、水流が食器全体に行き渡らず、洗いムラの原因になります。
2. 洗剤の選び方と使い方
必ず「食洗機専用洗剤」を使用してください。手洗い用洗剤は泡立ちすぎて故障の原因となります。
- 粉末洗剤: コストパフォーマンスに優れ、洗浄力も高いのが特徴です。水に溶けやすく、素早く汚れに作用します。
- ジェル洗剤: 液体の洗剤で、洗剤投入口に注ぎやすいのが特徴です。溶け残りしにくく、手も汚れにくいです。
- タブレット洗剤: 一回分が個包装になっているため、計量の手間がなく、使いすぎを防げます。洗浄力やリンス剤が一体になったものもあり便利です。
- 洗剤量: 洗剤は、食器の量や汚れ具合に合わせて適量を守りましょう。多すぎるとすすぎ残しの原因になり、少なすぎると洗浄力が落ちます。
- リンス剤(仕上げ剤): 使用すると、水滴跡(ウォータースポット)を防ぎ、乾燥効率を高める効果があります。特に硬水地域では効果を実感しやすいでしょう。洗剤とは別の投入口に入れます。
3. コースの選び方
食洗機には様々な洗浄コースが用意されています。
- 標準コース: 日常の一般的な汚れに適したコースです。
- 強力コース: こびりついた汚れや油汚れがひどい場合、鍋やフライパンなどを洗う際に選びます。洗浄時間や水温が高く設定されています。
- エココース/節水コース: 消費電力や水量を抑えて洗浄するコースです。軽い汚れや、時間がある時に活用すると良いでしょう。
- スピーディコース/少量コース: 急いでいる時や、食器の量が少ない時に便利な短時間コースです。
- 低温コース: デリケートな食器や、プラスチック製品など、高温に弱いものを洗う際に選びます。
- 除菌コース: 高温で長時間洗浄することで、より高い除菌効果を得られるコースです。
4. 日常的なお手入れ
食洗機を長く清潔に使うためには、日々のお手入れが欠かせません。
- 残さいフィルターの清掃: 食器から落ちた食べかすが溜まるフィルターは、毎回または数回使用ごとに清掃しましょう。詰まると水はけが悪くなり、ニオイや洗浄力低下の原因になります。
- 庫内の拭き掃除: 運転終了後、庫内が冷めてから水滴を拭き取ると、水アカの付着を防げます。
- 庫内洗浄: 月に一度程度、食洗機専用の庫内クリーナーやクエン酸を使って庫内洗浄を行うと、水アカや油汚れ、ニオイの発生を防ぎ、清潔な状態を保てます。
これらの実践的な使い方をマスターすれば、食洗機はあなたの強力な家事の味方となるでしょう。
5. 食洗機の注意点
食洗機は非常に便利な家電ですが、誤った使い方をすると、食器を傷つけたり、故障の原因になったりする可能性があります。安全に長く使うために、以下の注意点を必ず守りましょう。
1. 食洗機で洗えないもの
全ての食器や調理器具が食洗機で洗えるわけではありません。以下のものは特に注意が必要です。
- 耐熱温度の低いもの: プラスチック製の食器やタッパー、漆器、木製の食器・カトラリー(お椀、お盆など)は、高温で変形・変色したり、塗装が剥がれたりする可能性があります。耐熱温度が60℃以下のものは避けるべきです。
- アルミ製の調理器具: アルミ製の鍋やフライパン、お弁当箱などは、食洗機用洗剤のアルカリ成分と高温によって、黒ずんだり変色したりする可能性があります。
- クリスタルガラス製品: 高温や強力な水流、洗剤の影響で、白く曇ったり、破損したりする恐れがあります。薄手のガラス製品も同様に注意が必要です。
- 金彩・銀彩の施された食器: 金や銀の装飾が施された食器は、高温や洗剤によって変色したり、剥がれたりすることがあります。
- テフロン加工などのフッ素樹脂加工品: フライパンや鍋のフッ素樹脂加工は、食洗機の強力な洗浄で剥がれてしまう可能性があります。メーカーによっては食洗機対応のものもありますが、基本的には手洗いが推奨されます。
- 刃物類: 包丁やハサミなどの刃物は、高温や洗剤によって切れ味が落ちたり、錆びたりする可能性があります。また、他の食器を傷つけたり、水流で動いて破損したりする危険性もあります。
- 繊細なもの: 骨董品、絵付けの磁器、薄手の陶器、熱に弱い接着剤で留められたものなどは、破損のリスクが高いため手洗いが安全です。
- その他: 鋳物、銅製品、ゴムパッキン付きの容器(ゴムが劣化する可能性)、水筒の蓋など。
2. 使用上の注意
- 残菜処理は必須: 食器に残った大きな食べかす(骨、魚の皮、ご飯粒、野菜の切れ端など)は、必ず取り除いてからセットしてください。これらが残さいフィルターに詰まると、洗浄力の低下やニオイの原因、さらには排水ポンプの故障につながることもあります。
- 食洗機専用洗剤を使用する: 手洗い用洗剤は絶対に投入しないでください。泡が大量に発生し、食洗機から溢れ出たり、故障の原因となったりします。
- 過剰な詰め込みを避ける: 食器を詰め込みすぎると、水流が食器全体に行き渡らず、洗いムラが生じます。また、食器同士がぶつかり合って破損するリスクも高まります。
- 乾燥機能の過信は禁物: 特にプラスチック製品は、熱伝導率が低いため、ヒーター乾燥でも水滴が残りやすい傾向があります。完璧な乾燥を求める場合は、運転終了後に自然乾燥を併用するか、拭き上げが必要です。
- 運転中は開けない: 運転中にドアを開けると、高温のお湯や蒸気が噴き出し、火傷をする危険があります。また、故障の原因にもなりかねません。
3. 故障かな?と思ったら
- エラーコードの確認: 食洗機が異常を検知した場合、ディスプレイにエラーコードが表示されることがあります。取扱説明書を参照し、エラーコードの意味と対処法を確認してください。
- 簡単な原因から確認: 「電源が入らない」「水が出ない」「水が流れない」などの場合、電源プラグが抜けていないか、蛇口が閉まっていないか、残さいフィルターが詰まっていないかなど、簡単な原因から確認してみましょう。
- 専門業者への連絡: 上記の確認で解決しない場合や、異音、異臭がする場合は、無理に自分で修理しようとせず、メーカーのサポートセンターや購入店、専門の修理業者に連絡してください。
これらの注意点を守ることで、食洗機を安全に、そして長く快適に使い続けることができます。
6. 食洗機のコツ
食洗機をただ使うだけでなく、ちょっとしたコツを知ることで、さらに効果的に、そして経済的に活用することができます。ここでは、洗浄力アップ、節水・節電、ニオイ対策など、食洗機を使いこなすための秘訣をご紹介します。
1. 節水・節電のコツ
- 予洗いは不要?必要?
- 基本的に不要: 軽い油汚れや食べかすは、食洗機の強力な水流と高温洗浄で十分落ちます。無理な予洗いは、かえって水や時間の無駄になることが多いです。
- 必要とする場合: こびりつきがひどいご飯粒や卵の殻、焦げ付き、固まったソースなどは、軽くヘラなどで落とすか、水でサッと流しておくと、洗浄効果が高まり、フィルターの詰まりも防げます。ただし、洗剤を使ったり、長時間水に浸けたりする予洗いは不要です。
- 満タンにして運転: 食洗機は、食器の量が少なくても多くても、使用する水量や電気代は大きく変わりません。そのため、ある程度の食器が溜まってからまとめて運転する方が、圧倒的に節水・節電になります。
- エココースや予約タイマーの活用: 軽い汚れの場合は「エココース」を選ぶことで、消費電力や水量を抑えられます。また、電力会社によっては深夜電力プランがある場合、電気代が安くなる深夜時間帯に「予約タイマー」を使って運転することで、電気代を節約できます。
- 乾燥は余熱乾燥や自然乾燥を併用: ヒーター乾燥は電気代がかかります。時間に余裕がある場合は、洗浄後の余熱で乾燥させる「余熱乾燥」や、運転終了後にドアを少し開けて自然乾燥を促す方法を試してみましょう。特にプラスチック製品は熱がこもりにくく、水滴が残りやすいので、自然乾燥が有効です。
2. 洗浄力アップのコツ
- 食器の並べ方を見直す:
- 水流の通り道を確保し、食器が重ならないように配置します。
- 汚れのひどい面が水流の当たる方向(下向きや内向き)になるように置きます。
- コップや茶碗は逆さに伏せて、水が溜まらないように傾けて置きます。
- カトラリーはバラバラに、持ち手を下にして入れ、水流がしっかり当たるようにします。
- 洗剤の適量使用: 洗剤は多すぎても少なすぎても洗浄効果が落ちます。多すぎるとすすぎ残しが発生し、少なすぎると汚れが落ちきりません。取扱説明書や洗剤のパッケージに記載されている適量を守りましょう。
- リンス剤(仕上げ剤)の活用: リンス剤は、食器の表面張力を弱め、水滴が残りにくくすることで、乾燥効率を高め、水滴跡(ウォータースポット)の発生を防ぎます。特にガラス製品がピカピカに仕上がります。
- 定期的な庫内洗浄: 庫内には、洗剤カスや水アカ、油汚れなどが蓄積します。月に一度程度、食洗機専用の庫内クリーナーやクエン酸を使って庫内洗浄を行うことで、洗浄効果を維持し、ニオイの発生も防げます。
3. ニオイ対策
- 残菜フィルターのこまめな清掃: 使用後は毎回、または数回に一度は残菜フィルターを取り外して、溜まった食べかすを捨て、水洗いしましょう。これがニオイの最大の原因となることが多いです。
- 庫内乾燥をしっかり行う: 運転終了後は、庫内の湿気を逃がすために、ドアを少し開けておくのがおすすめです。湿気が残るとカビや雑菌の繁殖を招き、ニオイの原因になります。
- 庫内洗浄の実施: 定期的な庫内洗浄は、ニオイ対策にも非常に効果的です。
これらのコツを実践することで、食洗機はさらに強力な家事の味方となり、あなたの生活をより快適にしてくれるでしょう。
7. 食洗機の応用アイデア
食洗機は食器洗い専用と思われがちですが、実は食器以外の様々なアイテムの洗浄や、家事の負担を軽減する応用アイデアがあります。ただし、メーカーが推奨していない使い方もあるため、自己責任で行うか、事前に取扱説明書を確認することが重要です。
1. 食器以外の洗浄
食洗機の高温洗浄と強力な水流は、食器以外の頑固な汚れにも効果を発揮します。
- 換気扇のフィルターや魚焼きグリルの網: 油汚れがひどいこれらのアイテムは、食洗機に入れると驚くほどきれになります。ただし、アルミ製の場合は変色する可能性があるので注意が必要です。また、焦げ付きがひどい場合は、事前に軽くこそげ落としてから入れると良いでしょう。
- おもちゃ: プラスチック製で耐熱性のある子供のおもちゃ(ブロック、人形、積み木など)は、食洗機で除菌洗浄できます。ただし、電池を使うものや精密な部品があるものは避けてください。
- 花瓶や水筒の蓋、パッキン: 手の届きにくい花瓶の底や、水筒の蓋の溝、パッキンなどの細かい部分の汚れやヌメリも、食洗機ならすっきり洗浄・除菌できます。水筒本体は、フッ素加工されているものも多いので、メーカーの指示に従いましょう。
- まな板: プラスチック製や木製(耐熱性のあるものに限る)のまな板も、食洗機で高温洗浄することで除菌効果が期待できます。
- スポンジやふきんの除菌: 食洗機対応のスポンジやふきんは、食器と一緒に食洗機に入れて洗浄・除菌することで、清潔さを保てます。ただし、油汚れがひどい食器と一緒に洗うのは避けましょう。
- ペット用品: ペット用の食器やプラスチック製のおもちゃなど、耐熱性のあるものは食洗機で洗浄・除菌できます。ただし、人間の食器とは別に洗うなど、衛生面に配慮しましょう。
2. ちょっと変わった活用法(自己責任で)
一部のユーザーが試しているユニークな活用法ですが、これらはメーカーが推奨しているものではなく、あくまで自己責任で行うものです。
- 野菜洗い: ジャガイモやサツマイモ、人参などの泥付き野菜を、洗剤を使わずに水洗いコースで洗浄する、というアイデアがあります。ただし、食洗機内に土や泥が残る可能性があり、衛生面や故障のリスクもゼロではないため、注意が必要です。
- 靴洗い: 耐熱性の高いサンダルや、プラスチック製のクロッグサンダルなどを洗うという例もあります。しかし、靴の素材や接着剤によっては変形したり、劣化したりする可能性が高いです。
3. 食洗機を一時保管場所として活用
- 食器の一時保管: 洗い終わった食器を、食洗機内で一時的に保管するスペースとして活用することもできます。扉を閉めておけばホコリもつきにくく、次に使う時まで清潔に保てます。
- 調理前の食材準備: 食洗機が空いている時間帯に、洗った野菜などを一時的に置いておくスペースとして使うことも可能です。
食洗機の応用アイデアは、家事の効率化だけでなく、日々の生活をより快適にするヒントとなるかもしれません。しかし、繰り返しますが、食洗機で洗えるものと洗えないものをしっかりと見極め、メーカーの推奨する使用方法を基本とすることが大切です。特にデリケートなものや高価なもの、電気部品を含むものなどは、無理に食洗機で洗わず、手洗いをおすすめします。
8. 食洗機の予算と費用
食洗機の導入を検討する上で、気になるのが「どれくらいの費用がかかるのか」という点でしょう。食洗機にかかる費用は、初期費用とランニングコストの二つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 初期費用
初期費用は、主に本体価格と設置工事費で構成されます。
- 本体価格:
- 据え置き型(卓上型): 比較的手頃な価格帯で、数万円から15万円程度が一般的です。コンパクトなモデルやタンク式は安価な傾向にあり、高機能モデルになると高くなります。
- ビルトイン型: キッチンに組み込むため、据え置き型よりも高価です。10万円から30万円程度が目安で、海外メーカーの大型・高機能モデルではさらに高額になることもあります。
- 設置工事費:
- 据え置き型: 分岐水栓の取り付け工事が必要な場合、工事費用として1万円から3万円程度がかかるのが一般的です。ご自身で取り付けられる場合はこの費用はかかりませんが、水漏れのリスクなどを考慮すると専門業者への依頼が安心です。タンク式のモデルであれば、水栓工事は不要なので、
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