【修理屋直伝】洗濯機が脱水できない7つの原因と自分で直せる対処法

「洗濯が終わったと思ったら、衣類がびしょびしょのままだった」——この相談、月に何件来ると思います? 私の感覚では月平均5〜8件、梅雨の時期は倍になります。洗濯機が脱水できない問題は、家電トラブルの中でも特に焦る種類のものです。

家電修理を15年やってきた田中と申します。洗濯機の脱水不良で相談を受けたとき、実は7割近くのケースで業者に頼まなくても解決しています。最多の原因が「洗濯物の偏り」と「排水詰まり」で、どちらも自分で対処できる問題です。この記事では、脱水できない原因を症状別に整理して、今すぐできる対処法を解説します。

大事な衣類が傷む前に、さっそく確認していきましょう。

1. 洗濯機が脱水できない原因の全体像

脱水できない原因を症状別に整理するとこうなります。

  • 洗濯物の偏り(バランスエラー):全体の約40%。最多。自分で解決できる
  • 排水不良:全体の約25%。フィルター詰まり・ホース折れなど。自分で解決できる
  • フタ・ドアの閉まり不良:全体の約10%。センサー誤作動含む
  • 給水関連のエラー:全体の約5%。すすぎが終わらず脱水に進めない
  • モーター・ベルト・ベアリングの故障:全体の約15%。修理または買い替え
  • 基板・センサーの故障:全体の約5%。修理が必要

半分以上は自分で解決できます。では順番に見ていきましょう。

2. 最多原因:洗濯物の偏りとバランスエラー

洗濯機が脱水できない原因でダントツ多いのが「洗濯物の偏り」です。脱水時に洗濯槽が高速回転しますよね。その際に重量が一方に偏ると、洗濯機が激しく振動して倒れたり壊れたりするリスクが生じます。これを防ぐためにアンバランス検知センサーが搭載されていて、偏りを検知すると自動的に脱水を停止するんです。

先月、埼玉のお客様から「洗濯機が途中で止まる」という相談を受けました。訪問してみると、バスタオル3枚と普通の洗濯物を一緒に洗っていて、タオルが全部槽の片側に寄っている状態でした。洗濯物を均等に並べ直して再スタートしたら、普通に脱水できました。費用ゼロ、所要時間5分。

偏りが起きやすい洗濯物:

  • バスタオル・毛布など大きくて水を多く含むもの
  • ジーンズ・トレーナーなど厚手のもの1〜2枚だけ
  • 大物1枚だけで洗った場合(最もバランスが崩れやすい)
  • ネットに入れすぎた衣類

対処法:電源を切り、蓋またはドアを開けて洗濯物を手で均等に並べ直してください。大物1枚だけを洗う際は、バランス用にタオル数枚を一緒に入れると改善します。再スタートして脱水できれば原因は偏りです。

3. 排水不良:脱水前に水が抜けていないケース

洗濯機は脱水を開始する前に槽内の水を排水します。この排水が完全に終わらないと、安全のために脱水が始まらないか途中で停止します。排水不良は詰まりや折れが原因のほとんどで、自分で解決できます。

排水フィルター(ドラム式の場合)

ドラム式洗濯機の前面下部に排水フィルターがあります。ここに硬貨・ヘアピン・糸くず・ティッシュが溜まると排水が滞ります。月1回の清掃が推奨されていますが、守っていない方がほとんどです。

清掃手順:①フィルター周辺にタオルを敷く(水がこぼれます)②フィルターキャップをゆっくり緩めて水を受ける③フィルターを取り出して流水で洗う④元に戻して試運転。これだけです。

排水ホースの確認

洗濯機の背面または底部から伸びる排水ホースが折れ曲がっていると排水できません。洗濯機を少し動かして背面を確認してください。ホースが直角に曲がっていたら、緩やかな弧を描くように整えてください。

また、排水ホースの先端が排水口に深く差し込みすぎている場合、「サイフォン現象」により洗浄後に水が戻ってくることがあります。差し込みは5〜8cmが目安です。

排水口そのものの詰まり

洗濯機本体の問題ではなく、排水先の排水口が詰まっているケースもあります。排水ホースを抜いて、バケツで水を流してみてください。流れが遅ければ排水口の詰まりが原因です。市販のパイプクリーナー(500〜1,000円)で解消できます。

4. フタ・ドアの閉まり不良とセンサー異常

縦型洗濯機のフタや、ドラム式のドアが完全に閉まっていないと安全装置が働いて脱水が始まりません。「ちゃんと閉めたはずなのに」という方でも、実は微妙に閉まりが甘いことがあります。

確認ポイント:

  • フタ・ドアを「カチッ」と音がするまでしっかり押し込む
  • ドアパッキンに衣類の端が挟まっていないか確認する
  • フタのロック部分(ラッチ)に糸や異物が詰まっていないか確認する

センサー自体の故障が疑われる場合は、電源を完全に切り(コンセントを抜いて5分待つ)から再試行してください。それでも改善しない場合はセンサー交換が必要です。費用は機種によって5,000〜20,000円程度です。

5. エラーコード別の原因と対処法

洗濯機にエラーコードが表示されている場合は、まず取扱説明書で確認してください。メーカー・機種によってコードの意味は異なりますが、代表的なパターンをまとめます。

  • E1 / U1(排水エラー):排水が規定時間内に完了しなかった。排水フィルター・ホース・排水口を確認
  • E2 / U2(バランスエラー):洗濯物の偏りを検知。洗濯物を均等に並べ直して再試行
  • E3 / U3(蓋・ドアエラー):蓋やドアの閉まり不良。再度しっかり閉める
  • E4(給水エラー):給水に時間がかかりすぎた。水道栓の開き・給水フィルターを確認
  • F(故障コード):内部の機械的故障。メーカーへ修理依頼が必要

エラーコードのリセット方法:電源を切って数分待ち、再度電源を入れる。ただし根本原因を解消しないと再発します。エラーが繰り返し出る場合は必ず原因を特定してから再使用してください。

6. ドラム式洗濯機特有のトラブル

ドラム式洗濯機は縦型と比べて構造が複雑で、特有のトラブルが起きやすいです。修理依頼の内訳を見ると、ドラム式の割合が縦型より多い印象があります。

排水フィルターへの硬貨・異物の混入

ドラム式の排水フィルターは縦型より詰まりやすい設計です。洗濯物のポケットに入れっぱなしの硬貨、ヘアピン、絆創膏、ビーズなどが排水フィルターや排水ポンプに噛み込むと排水が止まります。子どもの衣類を洗う前はポケットを必ず確認する習慣をつけることで、このトラブルの大半は予防できます。

ドアパッキンへの異物挟み込み

ゴムパッキンに衣類の端や小物が挟まると密閉不良になります。定期的にパッキン周囲を確認・清掃してください。パッキンにカビが生えている場合は、市販の洗濯槽カビキラーや塩素系クリーナーで清掃できます。

乾燥フィルターの詰まり(乾燥機能付きの場合)

乾燥フィルターが詰まると乾燥機能だけでなく脱水効率にも影響します。毎回の使用後にクリーニングする習慣をつけましょう。毎回やるのが面倒なら、「洗濯が終わったらフィルターを一瞥する」くらいのルーティンから始めてみてください。

7. モーター・Vベルトの故障(経年劣化)

洗濯機を長年使用していると、モーターやVベルト(縦型の多くに採用)が劣化して脱水力が低下します。目安として製造から8年以上経過した洗濯機で脱水不良が起きる場合、機械的な消耗が原因であることがあります。

故障のサイン:

  • 脱水時に「キュルキュル」「ゴトゴト」という異音がする
  • 槽の回転が遅い、または途中で止まる
  • 脱水を何度やり直しても衣類が濡れたまま
  • 焦げた臭いがする(モーター過熱)

Vベルト交換の費用は部品代500〜1,500円+工賃で計5,000〜15,000円程度です。モーター交換が必要な場合は20,000〜40,000円かかることがあります。10年以上経過している場合は買い替えを真剣に検討してください。

8. 洗濯物を傷めない脱水のコツ

脱水トラブルの防止だけでなく、衣類を傷めないための脱水の工夫もお伝えします。

  • おしゃれ着・デリケート素材:「手洗いコース」「おしゃれ着コース」を使うと脱水の回転数が低く抑えられる。脱水時間も短め(30秒〜1分)に設定するとシワが減る
  • 大物と小物を一緒に洗う:バスタオルと下着を一緒に洗うと偏りが起きにくい。同系統の素材をまとめて洗うのが理想
  • ネットの使い方:ネットは同じサイズのものを複数使って各所に分散させる。一つのネットに詰め込むとバランスが崩れやすい

9. 洗濯機のメンテナンス頻度の目安

脱水トラブルを未然に防ぐための定期メンテナンスです。手間をかけずに長持ちさせるために。

  • 毎回使用後:蓋を開けて庫内を換気する(カビ・臭い防止)
  • 使用ごと(ドラム式):乾燥フィルターの確認
  • 月1回:排水フィルターの清掃(ドラム式)・糸くずフィルターの確認(縦型)
  • 月1回:洗濯槽クリーナーで槽洗浄(市販品で500〜1,000円)
  • 3ヶ月ごと:給水フィルターの確認
  • 年1回:洗濯機の水平確認(傾きがあるとバランスエラーが起きやすい)

10. 修理か買い替えかの判断基準と費用目安

脱水トラブルで業者に修理を依頼する際の費用目安です。

  • フィルター・パッキン交換:5,000〜15,000円
  • Vベルト交換(縦型):5,000〜15,000円
  • モーター交換:20,000〜40,000円
  • ベアリング交換(ドラム式):25,000〜50,000円
  • 基板交換:15,000〜40,000円

修理が適切なケース:製造から6年以内 × 修理費2万円以下
買い替えが適切なケース:製造から10年以上 × 修理費3万円超 または 部品供給終了

洗濯機の平均寿命は縦型で約10〜13年、ドラム式で約10〜12年です。修理見積もりが本体価格の50%を超えるなら買い替えが経済的な判断です。

よくある質問

Q1: 洗濯機が脱水中に急に止まります。何が原因ですか?

脱水中に急に止まる原因の最多は「洗濯物の偏り(アンバランス)」です。洗濯物が一方に偏ると洗濯機のセンサーが検知して自動停止します。対処法は蓋を開けて洗濯物を均等に並べ直してから再スタートすること。それでも繰り返す場合は排水不良(排水フィルター詰まり)が原因のことが多いです。フィルターを清掃してみてください。エラーコードが表示されている場合は取扱説明書でコードの意味を確認してください。

Q2: 脱水の途中で「U4」などのエラーが出ます。どうすればいいですか?

「U4」系のエラーコードはメーカーによって意味が異なりますが、多くの場合バランスエラーや排水エラーを示します。まず電源を切って2〜3分待ち、洗濯物を均等に並べ直して再スタートしてみてください。それでも同じエラーが出る場合は、排水フィルターや排水ホースを確認してください。取扱説明書のエラーコード一覧でコードの意味を確認するのが確実です。改善しない場合はメーカーのサポートセンターに問い合わせてください。

Q3: ドラム式洗濯機の排水フィルターはどこにありますか?清掃方法を教えてください。

ドラム式洗濯機の排水フィルターは多くの場合、本体前面の下部にある小さなカバーの中にあります。清掃手順は①フィルター周辺に多めのタオルを敷く(水が出ます)②小さなカバーを開けてドレンキャップをゆっくり緩め、水を受け取る③フィルターを取り出して流水でゴミを洗い流す④糸くずや硬貨などの異物を取り除く⑤元に戻してしっかり締める。月1回の清掃が推奨されます。

Q4: 洗濯機が脱水できない場合の修理費用はいくらくらいですか?

修理費用は原因によって大きく異なります。フィルターや排水ホースの清掃・交換は5,000〜15,000円程度。Vベルト交換は5,000〜15,000円。モーター交換は20,000〜40,000円。ベアリング交換(ドラム式)は25,000〜50,000円程度かかります。製造から10年以上経過した機種でモーターやベアリングの交換が必要な場合は、買い替えの方が経済的な場合がほとんどです。まずメーカーサービスに診断を依頼して見積もりを取ることをおすすめします。

Q5: 縦型とドラム式で脱水トラブルの対処法は違いますか?

基本的な確認手順(偏り直し・排水確認・フタ確認)は共通ですが、フィルターの場所が異なります。縦型の糸くずフィルターは槽内の上部や側面にあり、ドラム式の排水フィルターは前面下部にあります。ドラム式はドアパッキンへの異物挟み込みというドラム式特有の問題もあります。また、ドラム式は乾燥フィルターの詰まりが脱水にも影響することがあります。いずれの機種も取扱説明書のメンテナンス項目を確認することが大切です。

まとめ:洗濯機が脱水できない時の確認フロー

  • 洗濯物を均等に並べ直してバランスを取る(最多原因・費用ゼロ)
  • 排水フィルター・ホース・排水口を確認・清掃する(費用ゼロ〜数百円)
  • フタ・ドアの閉まりとセンサーを確認する(費用ゼロ)
  • エラーコードを取扱説明書で確認して対処する
  • 給水栓・給水フィルターを確認する(費用ゼロ)
  • 上記で改善しない場合はメーカーまたは修理業者に依頼する

定期的なメンテナンスを続けることで、脱水トラブルの大半は予防できます。月に一度のフィルター清掃と洗濯槽クリーナーの使用を習慣にしてください。

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