「ついさっきまで動いてたのに、急に冷えなくなった」——先週、神奈川県のお客様からそんな連絡がありました。訪問してみると、エアコン本体はちゃんと動いていた。でも原因は、フィルターが3年分のほこりで完全に詰まっていたこと。10分間の掃除だけで、その日のうちに解決しました。修理費用はゼロ円です。
私は家電修理の仕事を15年やってきました。エアコン・洗濯機・冷蔵庫の修理だけで累計2000件を超えます。その経験から言うと、エアコンが効かないという相談の約6割は、業者を呼ばなくても自分で解決できるんですよ。ただ、残りの4割はきちんとした判断が必要で、誤った対処をすると余計に費用がかかることもある。この記事では、その見極めを自分でできるようになってもらうために書きました。
猛暑の真っ只中にエアコンが止まったら焦りますよね。でも焦って業者を呼ぶ前に、5分だけ確認してほしいことがあります。順番に一緒に見ていきましょう。
1. エアコンが効かない原因の全体像——修理件数から見えてくること
まず、エアコンが効かない原因を大きく整理します。私がこれまで対応してきた案件の内訳(あくまで体感値ですが)はこんな感じです。
- 設定ミス・リモコンの問題:全体の約20%。電池切れ、モード設定ミスなど
- フィルター詰まり:全体の約35%。最も多い。自分で清掃すれば解決できる
- 室外機の問題:全体の約15%。異物詰まり、直射日光、霜取り中など
- 冷媒ガス不足:全体の約10%。専門業者が必要
- 熱交換器の汚れ:全体の約10%。プロのクリーニングで改善
- 機械的故障(基板・コンプレッサー等):全体の約10%。修理または買い替え
7割近くは自分でどうにかできる問題です。特にフィルター詰まりは本当に多い。「なんで業者に頼む前に確認しなかったんですか?」って内心思うことがあります(もちろん口には出しませんが)。あなたの状況も、まずこのフローに沿って確認してみてください。
2. まず5分でできる確認:設定・リモコン・ブレーカー
エアコンが冷えない・動かないと感じたら、真っ先にここを見てください。呼び出したサービスマンが実は何もせずに帰った——そういうケースの大半がこれです。出張費だけかかって終わり、なんてもったいないですよね。
運転モードの確認
「送風」モードになってませんか? 送風は冷風も温風も出ません。リモコンの表示を確認して、冷房(または暖房)モードになっているか確認してください。これだけで解決するケースが全体の5%ほどあります。少なく感じるかもしれませんが、年間で見るとかなりの件数です。
設定温度の確認
室温より高い温度が設定されていると冷房は動きません。当然といえば当然なんですが、意外と多い。冷房なら設定温度を現在の室温より3〜5℃低くしてみてください。たとえば室温が28℃なら、24〜25℃に設定するのが基本です。
リモコンの電池
電池が弱くなると、ボタンを押しても信号がエアコンまで届かないことがあります。「電源ランプが全く反応しない」場合は電池交換から試してみましょう。単3電池2本、コンビニで買えます。電池交換だけで解決するケースも年に何件か経験しています。
ブレーカーの確認
エアコンは専用回路を使うことが多く、その回路のブレーカーだけが落ちているケースがあります。分電盤を開けて、ブレーカーが全部「入」になっているか確認してください。エアコンが消費電力の大きい家電と同時に動いているとき、専用ブレーカーが落ちやすくなります。
タイマーの誤設定
「切タイマー」が誤ってセットされていて、気づかないうちに停止していることもあります。リモコンの表示を確認して、意図しないタイマーが設定されていないか見てみてください。お子さんがリモコンをいじった場合に多いパターンです。
3. フィルター掃除が一番効く——3年放置のフィルターを洗ったら体感が激変した
「フィルター掃除は2週間に1回」というメーカー推奨があるんですが、守っている人は本当に少ない。実際、私が訪問した家庭の半分以上は、フィルターに1年以上のほこりが積もっていました。中には「引っ越してから一度も掃除していない」という方も。5年分のほこりが固まっていたケースもあります。
フィルターが詰まると何が起きるか。冷気を作る熱交換器に空気が流れなくなります。エアコンは頑張って冷気を作っているのに、部屋まで届かない状態。消費電力は上がるのに冷えない、という最悪のパターンです。メーカーのデータでは、フィルター詰まりで冷却能力が30〜40%低下することが確認されています。電気代を余計に払いながら、快適さは半分以下、という状態です。
フィルター掃除の手順(10〜15分でできます)
- エアコンの電源を切る(念のためコンセントも抜くと安心)
- 前面パネルを開ける(多くの機種は手前に引き上げるだけ)
- フィルターをスライドさせて取り出す
- 外側から掃除機をゆっくりかける(内側から吸うとほこりが詰まる)
- 水洗いできる場合はぬるま湯で優しく押し洗いする
- 完全に乾かしてから(これが重要!)元に戻す
- 試運転して改善を確認
濡れたままフィルターを戻すとカビが生えます。これが後々悪臭の原因になる。乾燥は最低1時間以上、できれば数時間取りましょう。
掃除した後に「こんなに違うの!」と驚く方が本当に多いです。それだけフィルター詰まりが冷暖房効率に効いていたということ。試してみる価値は確実にあります。
4. 室外機を5分チェック——意外と見落とされがちな原因
「室内機だけ見てOK」と思っている方が多いですが、室外機の状態もすごく重要です。屋外にあるから目が届かず、何年も放置しているケースがある。特に梅雨明け直後の8月、室外機まわりの詰まりが原因という相談が集中します。
吹き出し口・吸い込み口の詰まり
落ち葉、ビニール袋、近隣の植木が密着している——こういった物理的な詰まりで排熱できなくなります。室外機の前後左右に50cm程度のスペースを確保してください。先日対応したケースでは、室外機の背面にフェンスが密着していて排熱できない状態でした。設置場所を少し動かすだけで解決しました。
直射日光による過熱
室外機に直射日光が当たり続けると過熱して保護装置が作動します。日よけカバー(2,000〜5,000円程度)を取り付けると冷却能力が改善するケースがあります。ただし、室外機全体を覆うタイプはNGです。通気を確保できるスタンドタイプを選んでください。覆いすぎると逆効果になります。
暖房時の霜取り運転
冬の暖房中に急に温風が出なくなった場合、霜取り運転に入っている可能性が高いです。室外機に霜が付くと一時的に除霜運転に切り替わり、10〜20分は温風が出なくなります。これは正常な動作なので、慌てず待てば自動復帰します。「エアコンが壊れた!」と緊急連絡を受けて訪問したら霜取り中だった、というケースが年に何回もあります。
不具合かどうか迷ったら——室外機に手を近づけてみてください。暖房時なら冷たい風が出ているはず(外の熱を室内に取り込んでいるため)。全く何も出ていないなら問題がある可能性があります。
5. 冷媒ガス(フロン)不足:これは自分で対処できません
フィルターも室外機も問題ないのにどうしても冷えない場合、冷媒ガスの不足が疑われます。冷媒ガスは配管の接続部などから年月をかけて少しずつ漏れることがあります。通常は何十年も持つものですが、施工不良や配管の劣化があると早く減ることも。新築から3〜4年で冷えなくなった場合、施工時の接続不良が原因のケースも私は経験しています。
冷媒ガス不足のサイン:
- 室内機の熱交換器(アルミフィン)に霜や氷が付いている
- 室内機や配管から「シュー」という音がする
- 以前より明らかに冷えが弱くなってきた(じわじわと悪化)
- コンプレッサーは動いているが、冷風の温度がほとんど下がらない
冷媒ガスの補充・漏れ修理は「冷媒フロン類取扱技術者」という国家資格が必要な作業です。DIYは法律的にも安全的にも対応不可。ネットで売っているDIY補充キットは使わないでください。過充填でコンプレッサーが壊れた相談も実際に来たことがあります。費用は補充のみなら15,000〜30,000円、漏れ修理込みなら50,000〜100,000円程度が目安です。
6. 熱交換器の汚れ——5年クリーニングなしなら要注意
フィルターの奥にある熱交換器(アルミフィン)に汚れが蓄積すると、冷暖房能力が大幅に低下します。フィルターをすり抜けた微細なほこりや油分が蓄積し続け、熱の交換効率が下がります。特に台所近くのエアコンはひどい。油が混ざったほこりがアルミフィンに固着して、プロが高圧洗浄しないと取れない状態になることがあります。
「フィルターはいつも掃除しているのに冷えない」という方の場合、この熱交換器の汚れが原因のケースが多いです。5年以上クリーニングしていないエアコンは、一度プロに見てもらうことを真剣に考えてほしい。
エアコンクリーニングの費用目安:壁掛けタイプで8,000〜15,000円。お掃除機能付きは12,000〜25,000円程度。くらしのマーケットやダスキンなどで業者を探すと口コミも確認できます。「作業後に追加請求しない」業者を選ぶのがポイントです。
7. やりがちな失敗:これをやって余計に困ったケース
修理屋目線で、「これをやって余計に困った」という事例を3つ紹介します。同じ失敗をしないための参考にしてください。
市販の洗浄スプレーを使いすぎた
「エアコン洗浄スプレー」は手軽ですが、使い方を誤ると洗浄液が内部に入り込んで基板が故障したり、ドレンパンに溜まって水漏れの原因になります。スプレーを使うなら、機種対応の確認と使用量・使い方を説明書通りに守ることが大前提。「大量にかけた方が効果がある」という思い込みが一番危ない。
室外機を完全に覆うカバーを付けた
「直射日光が当たるから」と室外機全体をカバーで覆った結果、排熱できなくなって保護装置が頻繁に作動するようになった——という相談が年に数件あります。市販の日よけカバーは「上面のみ」か「前面に隙間あり」タイプを使ってください。
冷媒ガスのDIY補充を試みた
ネットで売っている「DIY冷媒ガスチャージキット」を使って自分で補充しようとした方がいます。フロン排出抑制法に抵触する可能性があるうえ、過充填でコンプレッサーが壊れたケースも実際に見ました。冷媒ガスは必ず専門業者に任せてください。
8. 修理費用の相場と悪質業者を避ける方法
エアコン修理を業者に依頼するとき、気をつけてほしいのが「990円〜」「3,980円〜」といった異常に安い価格を謳う広告です。実際には作業後に「追加費用が必要」と言って高額請求するケースが後を絶ちません。これは本当に多い。
修理費用の現実的な目安:
- エアコンクリーニング:8,000〜15,000円
- 冷媒ガス補充(漏れなし):15,000〜30,000円
- 冷媒漏れ修理+補充:50,000〜100,000円
- 基板交換:20,000〜60,000円
- コンプレッサー交換:50,000〜100,000円以上
信頼できる業者の見つけ方:
- 各メーカーの公式修理窓口(パナソニック、ダイキン、三菱電機など)
- くらしのマーケットで口コミと実績を確認してから依頼
- 作業前に書面で見積もりを出してくれる業者を選ぶ
- 電話対応が丁寧で、症状を詳しく聞いてくれるところは信頼度が高い
「電話でざっくりした費用を教えてほしい」と聞いたとき、「現場を見ないと分かりません」と言いながらも大まかな目安を伝えてくれる業者は誠実なことが多いです。即答で「激安」を謳うところは要注意です。
9. 修理か買い替えか——判断の分かれ目
製造から10年以上経過しているエアコンで修理費用が5万円を超える見積もりが出た場合、買い替えを真剣に検討してください。最新モデルは10年前と比べて省エネ性能が大幅に向上しており、電気代が年間1〜3万円安くなることもある。10年で10〜30万円の差です。
また、古い機種はひとつ直しても別の部品が壊れるリスクが高く、修理費用が重なりやすいです。「また壊れた」という悪循環に入ったら、その時点で買い替えの決断をする方がトータルコストは安くなります。
- 修理を選ぶ目安:製造6年以内 × 修理費3万円以下
- 買い替えを選ぶ目安:製造10年超 × 修理費5万円超 または 部品供給終了
迷ったらメーカーのサービスセンターに電話して修理費の目安を聞いてみてください。症状を伝えると大まかな見積もりを教えてくれることがあります。
10. よくある質問
Q1: エアコンのフィルター掃除は何ヶ月に1回すればいいですか?
メーカー推奨は2週間に1回ですが、実際には夏冬の使用頻度が高い時期は2週間に1回、春秋は月1回が現実的な目安です。ペットを飼っている家庭や花粉シーズンはほこりが多いため、より頻繁に確認してください。フィルターを外して光に透かしてみて、光がほとんど通らない状態なら要清掃のサインです。少なくとも年2回(夏前と冬前)は必ず掃除するようにしましょう。
Q2: フィルター掃除をしても冷えない場合は何が原因ですか?
フィルター清掃・設定確認・室外機チェックをすべてやっても改善しない場合は、①熱交換器(アルミフィン)の汚れ、②冷媒ガスの不足、③機械的な故障(コンプレッサー、基板、センサー等)のいずれかが原因の可能性が高いです。5年以上クリーニングしていない場合はまず熱交換器の汚れを疑い、プロのクリーニングを試してみてください。それでも改善しない場合はメーカーサービスへの修理依頼を検討してください。
Q3: エアコンクリーニングの費用はいくらくらいかかりますか?
一般的な壁掛けエアコン1台のクリーニング費用は8,000〜15,000円が相場です。お掃除機能付きエアコンは構造が複雑なため12,000〜25,000円程度になることがあります。「990円〜」などの異常に安い価格を広告している業者は、作業後に追加請求するケースが報告されています。作業前に料金を書面で提示してくれる業者を選び、口コミも事前に確認することをおすすめします。
Q4: 冷媒ガスの補充は自分でできますか?
冷媒ガス(フロン)の補充は「冷媒フロン類取扱技術者」等の資格保有者のみが行える作業で、資格なしでの作業はフロン排出抑制法に違反する可能性があります。また、過充填でコンプレッサーが故障するリスクもあります。市販のDIY補充キットは安全上・法律上の観点から使用しないでください。必ずメーカーまたは有資格の業者に依頼してください。費用は補充のみで15,000〜30,000円、漏れ修理込みで50,000〜100,000円程度が目安です。
Q5: 暖房時に室外機から白い蒸気のようなものが出ていますが故障ですか?
冬の暖房運転時に室外機から白い蒸気が出るのは正常な動作です。これは霜取り運転中に発生する水蒸気で、火事や故障ではありません。室外機の熱交換器に付いた霜を溶かす際に出る蒸気です。15〜20分程度で自動的に霜取りが終わり、通常の暖房運転に戻ります。ただし、焦げた臭いや黒い煙が出ている場合は直ちに電源を切って業者に連絡してください。
Q6: エアコンが10年以上経っています。修理と買い替えどちらが得ですか?
製造から10年以上経過している場合、修理費用が5万円を超えるなら買い替えが有利なケースが多いです。理由は2つ。①最新機種は省エネ性能が大幅に向上しており、10年前の機種と比べて年間電気代が1〜3万円安くなることがある。②古い機種は修理後も別の部品が壊れるリスクが高く、修理費用が重なりやすい。修理費用が3万円以下で部品が入手可能な場合は修理も選択肢です。メーカーサービスに修理費用の見積もりを取ってから判断するのが確実です。
まとめ:エアコンが効かない時の確認フロー
- 設定・リモコン・ブレーカーを確認(費用ゼロ、5分)
- フィルターを掃除する(費用ゼロ、10〜15分)
- 室外機の周囲をチェック・清掃(費用ゼロ、10分)
- 改善しない場合:まずエアコンクリーニングを検討(8,000〜15,000円)
- クリーニング後も改善しない:メーカーまたは業者に修理相談
- 修理費が高額 × 製造10年超:買い替えを検討
「まず自分でできることをやってみる」という姿勢が大切です。エアコンの不具合の大半は、専門知識がなくても対処できます。フィルター掃除一つで体感温度が変わることは珍しくない。それでも改善しない場合は、無理をせず専門家に頼ってください。
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